脳卒中の患者さんに、看護師は何をすればいいの?

「脳卒中の患者さんに、看護師として何をすればいいんだろう」

そう聞かれたとき、すっと答えられる人はなかなかいないんじゃないかと思います。急性期の忙しさの中で、何かやらなきゃという焦りだけが先走って、全体像が見えないまま毎日が過ぎていく。そんな経験、ありませんか?

今回はまず全体像をつかんでもらうために、脳卒中看護でやることを4つのポイントに絞って簡単に紹介します。次回からは、それぞれについて個別の記事でじっくり解説していきます。

Nursing Roles

脳卒中看護でやること

急性期から退院まで、看護師が担う4つの核心的な役割

急性期・ICU フェーズ
回復期・退院準備フェーズ
1

脳を守ること

急性期は脳循環自動調節能・血液脳関門が障害されやすい。血圧・体温・血糖・酸素など、脳への影響を意識した全身管理を行う。

「脳に何が起きているか」を常に頭に置きながら看護する視点が鍵。

脳循環 血液脳関門 二次損傷予防 全身管理
2

症状を見つけること

神経症状の変化をいち早くキャッチし、悪化や合併症を見逃さない。

見えにくい高次脳機能障害(注意・記憶・遂行機能など)を積極的に評価・発見する。

神経症状 高次脳機能障害 NIHSS 観察力
3

ADLサポートと
できることを増やす介入

安全に日常生活動作(ADL)を支援しながら、廃用を予防する。

残存機能・強みを活かし、「できないことを補う」だけでなくできることを増やす関わりを意識する。

ADLサポート 残存機能 廃用予防 リハビリ連携
4

退院後の新しい
生活づくりをサポート

患者・家族が新しい生活を再構築できるよう、退院前から準備を始める。

多職種と連携し、社会資源・サービスの活用を含めた包括的な退院支援を行う。

退院支援 家族支援 社会資源 多職種連携

— 脳卒中看護の基礎知識 図解

1. 脳を守ること

脳はもともと、さまざまな仕組みで守られています。頭蓋骨による物理的な保護、髄液によるクッション、脳に届く血流を一定に保つ「脳循環自動調節能」、そして有害物質の侵入を防ぐ「血液脳関門」。これらが組み合わさって、脳は日々守られています。

でも脳卒中の急性期では、これらの機能が障害されていることが多い。そのため、普段なら何でもないようなことが、大きなダメージにつながってしまうことがあります。だからこそ、僕たちは「この患者さんの脳を今守れているか」という視点を常に持つことが必要です。

2. 症状を見つけること

症状を見つけることには、大きく2つの意味合いがあります。

ひとつは、神経症状の変化をいち早くキャッチすること。悪化のサインを見逃さないよう、観察とモニタリングを継続することは、急性期看護の根幹です。

もうひとつは、高次脳機能障害を見つけること。記憶・注意・言語・遂行機能といった脳の高次な働きは、外から見ただけでは気づきにくく、本人も自覚していないことがほとんどです。でも放置すれば、退院後の生活や社会復帰に大きな支障をきたします。看護師が積極的に評価してこそ、早期に発見し、適切な介入につなげることができます。

3. 日常生活動作のサポートと、できることを増やす介入をすること

麻痺や高次脳機能障害によって、食事・移動・排泄といった日常生活が思うようにできなくなります。その一つひとつに寄り添い、丁寧にサポートするのが僕たちの役割です。

ただ、「できないことを手伝う」だけが看護ではありません。残っている機能を活かしながら、リハビリテーションスタッフと連携して「自分でできること」を少しずつ増やしていく。その視点を持って関わることが、患者さんの回復と自信につながっていきます。

4. 退院後の新しい生活づくりをサポートすること

脳卒中は、退院したら終わりではありません。多くの患者さんが、退院後も大きく変わった生活スタイルと向き合い続けます。患者さんと家族が新しい生活を再構築できるよう、退院前から一緒に準備を進めること。これも、僕たちにしかできない大切な仕事のひとつです。


まとめ

整理すると、脳卒中看護でやることはこの4つです。

  1. 脳を守ること
  2. 症状を見つけること
  3. 日常生活動作のサポートと、できることを増やす介入をすること
  4. 退院後の新しい生活づくりをサポートすること

全体像が見えると、「今自分は何をしているのか」が少し腑に落ちてきませんか。

Brain Journalでは、この4つをひとつずつ深掘りする記事を書いていきます。「脳を守るってどういうこと?」「高次脳機能障害って、どうやって見つけるの?」——そんな疑問に、一緒に向き合っていきましょう。